柄沢斎のこと

tiger2132005-10-08

 そういえば、柄沢君と知り合って何年になるのだろう。
国立(東京)駅南口にある喫茶店白十字”で逢ったのが
最初であることは、確かだ。柄沢斎はまさしく紅顔の美青年
で、版画家の卵と言うよりもアイドルタレントといった風情
。手製のバインダーにそれまで仕上げた作品十数点と、ポケット
版サイズの私家本を小脇に抱えて”白十字に飛び込んで来た。
 私は作品を一目見てすっかり惚れ込み、持ってきたものを
全部譲ってむらい、そのまま我が家(マンション)につれて
きてしまった。驚いたことに柄沢君は無類の料理好きで、
さっそくオモチャノような狭い台所で調理してくれたのが
吃驚するぐらいの美味で、ワイフが頭を抱えていたのを
昨日のことのように鮮明に覚えている。多分、昭和48年の
春まだ浅いころであったと思う。

新聞小説

tiger2132005-10-05

 毎日新聞の朝刊に連載中の小説「虹の彼方」は小池真理子が初めて
新聞小説に挑戦した野心作と聞いている。


なによりも興味深いのは挿絵を柄沢斎がしているということで、
数年前、日本経済新聞の夕刊に初めて版画で挿絵を担当して以来、2度目となる。


ただ今回は、前回にくらべて、挿絵面が版画と言うよりも
ドローイングの感触があって版画ではあるが、微妙な雰囲気を醸し出していて、
挿絵の面でも新境地を切り開いた感じがする。
    

大迫みきおのこと

この頃よく、大迫みきお氏のことを想い出す。


作業中の工房をふらりと訪ねても手を休めて相手をしてくれた。
帰りには手元にある焼き物を無造作に新聞紙にくるんで持たしてくれた。
或る時など、日常使っている食器類の中に気に入ったもがあったので、
所望したら籠(かご)ごと好きなだけ持って行ってもいいよとい
われビックリした。


そんなわけで大迫氏の代表作の多くを所有している。
なかでも常滑陶芸研究所時代に仕上げた陶筥(とうばこ)
は大型のもばかり7〜8点だと思うが、その内5点を私が所有している


 亡くなって何年になるのか。今さらながら、余りにも早すぎる
死が悔やまれてならない。